そのお給料の仕組み、納得できますか?
これから就職活動、あるいは転職活動をしようと考えている皆様へ。
求人票のお給料の欄は、絶対気になりますよね。
私は、固定給の会社と歩合(ぶあい)給の会社、どちらも勤務経験がございます。
そこで、それぞれについての基本的な内容と、メリット・デメリットについて解説いたします!

基本給(=固定給)とは
基本給(あるいは固定給)とは、会社や個人の業績に関わらず、定額もらえる給与のことです。
このメリットは、業績が振るわなかったり目標に未達の場合でも、最低限この給与は保証されているという安定性があることですね。
(ここから税金や保険料がかなり差し引かれるので、手取り額にがっかりすることはさておいて)
また、日本では、固定給は勤続年数に応じて少しずつ上がっていく会社が多いです。
いわゆる年功序列という仕組みですね。
そのため、こつこつと継続して勤めれば、徐々に給与が増える可能性が高いです。

逆にデメリットは、自分が人一倍働いて、大きな結果を残したとしても、その努力の結果が給与には反映されないことです。
同じ部署で不真面目な社員や、あまり結果を出していない社員がいる場合、自分は何のために頑張っているのかわからなくなり、「真面目な人が馬鹿を見る」状態になりやすいです。
勤続年数の長い上司や先輩に、理不尽に仕事を振られ、自分ばかり負荷がかかっても、勤続年数が少ないという理由でその社員たちより給与が低いことも、当然起こりえます。
歩合給とは
歩合給とは、個人または部署の業績に応じて、給与の金額が変動するものです。
成果報酬と呼んだり、インセンティブ制度と呼んだりする会社もございます。
私は住宅リフォーム会社の営業兼施工管理職をしていたときに、歩合給の方式でした。
当時は、「基本給15万円+歩合給」という給与体系で、
リフォーム工事の見積もり作成・受注から、工事の手配・完工まで、すべて1人で担当します。
歩合給は、その月に自分が担当した工事の「完工粗利額の15%」(割合は条件により変動)というもの。
例えば、1か月に税抜き合計請負100万円の工事が終わり、お客様から代金を全額お支払いいただき、粗利が25万円残った場合。
250,000×0.15=37,500 となり、基本給にこの金額が追加され、今月の給与は「187,500円」となります。

歩合給のメリットは、結果を残したらその分だけダイレクトに給与が増えることですね。
年齢や勤続年数に関係なく、実績がすべてです。
上記の例で、仮に水回り一式改装工事400万円が完工し、粗利が100万円残ったとすれば、その月の給与は30万円になります。これは、20代前半の方からすればかなり大きな金額と言えるでしょう。
固定給のみではなかなかこの金額には達しないですよね。
デメリットは、その月の実績が振るわなかった場合。かなり悲惨な給与金額となります。
また、私の勤めていた会社に関しては、「その月に完工したかどうか」がすべてでした。
毎日現場に通い、施工管理の激務をこなしていたとしても、その工事が当月に終わらなければ、当月の給与には反映されません。
お客様からお支払いがなかなかされず、工事は終わっているのに完工扱いにならない、といったケースもございます。
つまり、必ずしもたくさん働けば給与が上がる、というわけではなく、これが大きな落とし穴となりえます。
さらに、当時は残業代や手当などは一切なかったため、毎日終電を超えるくらいまで働き、その月の手取りは10万円、などということも普通にございました。
大切なことは、歩合給やインセンティブといった条件が求人票に記載されていた場合、できるだけその内容を詳しく理解することです。
ここでは建設業の例しか挙げていませんが、他の業種であっても、「受注額による」のか「売上額による」のか「粗利額による」のか、換算する期間や金額の割合はどのくらいか。それを獲得するまでに実際に社員はどのくらいの仕事量をこなしているのか。といった具体的な情報を、面接のときなどにできるだけしっかりヒアリングすることをお勧めします。

残業手当はどうなっている?
まだまだ、日本の会社は残業するのが当たり前かのような風潮が残っていることが多いですね。
基本給のほかに、「残業代別途」と記載があった場合。
実際にそこで働くと、どのくらいの残業時間が発生し、どのくらい支給されるのでしょうか?
業種によって、繁忙期は様々です。繁忙期のみかなり残業が多くなるものの、それ以外の時期は比較的定時で終わるのであれば、納得できる場合もありますよね。
気を付けていただきたいのは、「みなし残業」という概念です。
「営業手当〇〇円」や「業務手当〇〇円」などといった書き方で、その隣に小さく※印がついており、
「月に25時間までの残業分を含む」などと書かれていることが多いです。
これはつまり、「毎月25時間までの残業は当たり前とみなし、最初から定額の手当てとして含まれている」ということです。
この場合は大抵、「25時間を超えた場合は別途手当を支給」というフレーズもあるかと思います。
私の経験ですと、この書き方をする求人は非常に危険です。
なぜなら、実際に膨大な業務量があり、月に25時間の残業を超えてしまったときに、別途の残業手当は支給してもらえない可能性があるからです。
月末が近くなってきたあたりで、上司に呼び出され、「25時間超えているじゃないか。超えた分の申請は受け付けないので、勤務時間の修正をしなさい」と命じられ、時間を書き換えさせられることを、2社連続で経験しました。(いずれも、上記のリフォーム会社とは別の会社です)

会社としては、残業代がかさんでコストが増え、全体の利益が減ってしまうことは避けたいものです。
そのため「みなし残業」という仕組みを使い、社員には「この時間内で終わらないのがおかしい」という圧力をかけ、その時間からはみ出すようであれば叱責し時間を修正させるのです。
勤務時間の修正や虚偽の申請は、本来はあってはならないことです。
しかし、残念なことに、勤務時間を専用ソフトに”手入力”で申請する会社はまだまだ多いです。
PCのログイン時間など、書き換えができないもので勤務時間を計算する会社であれば、まだよいかもしれません。ですが、私の個人的な経験を基にすると、こうした「みなし残業」をうたう会社は実際にはもっと働いている(超過時間分は、いわゆるサービス残業をしている)可能性が高いと考えます。
まとめ
いかがでしたか?
この記事では、「固定給」「歩合給」「残業」について、基本的な内容とメリット・デメリットを解説しました。
これから就職活動を始める皆様が、より納得のいく選択をできるよう、心から願ってやみません。
引き続き、就職・転職にまつわる基本的な情報を、独自の視点で分かりやすくまとめていきたいと思います。